キッチンリフォームコラム

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キッチンにまつわる話を連載

キッチンのワークトップ素材、人造大理石と人工大理石の違いが知りたい!メリットとデメリットは?

キッチンリフォームを考える時によく耳にする言葉があります。

それは「人大(ジンダイ)

キッチンのワークトップ(作業台)は「ステンレス製にするか人〇大理石製にするか」で一度は迷われるのではないでしょうか?

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ただカタログを見ていると、メーカーによって人大は「人造大理石」や「人工大理石」といったように表記が変わっています。

メーカーによって名称が違うだけでは?

...と思ったそこのアナタ!実はぜんぜん違うんです!

そう、「人造大理石」と「人工大理石」は一文字違いでとても似ている名称ですが、素材の成分や性質がまったく違うのです

そこで今回は「人造大理石」と「人工大理石」の違いについてご説明します。

人造大理石

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トクラス Bb 人造大理石の美しいカウンター

人造大理石とは、天然大理石を粉砕してセメントや樹脂で固めた半人工素材のことをいいます。

ひと昔は「テラゾー」といって、補強する為のモルタル層の上に大理石などを粉砕させてセメントと練り混ぜたコンクリートを打ち重ねて硬化した後に、表面を研磨・つや出しをして仕上げたものが流通していましたが、最近はあまり見かけなくなりました。

「人工大理石」との違いは、仕上げに研磨作業が必要となるため複雑な形の加工には適していません。

キッチンのワークトップや壁材、床材など板状の製品としてよく使用されています。高級感のあるお店のトイレの壁や床材にもたまに使われています。

◆人造大理石を採用している主なメーカー◆

●キッチン:トクラス、LIXIL、Panasonic、タカラスタンダード

人工大理石

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クリナップ 人工大理石アクリストンワークトップ

「大理石」という名称ですが、人造大理石のように天然石の成分は一切含まれていません

アクリル樹脂やポリエステル樹脂を主成分とした人工素材のことを「人工大理石」と言います。

人工大理石は様々な形に加工したり、着色性に優れているため、型さえあれば大量生産することも可能。また透明感を表現することに適しているので、キッチンの他にもお風呂の浴槽などにもよく使用されています。

アメリカのデュポン社で開発されたコーリアンなどは、天然素材の弱点(アルカリ性と酸性に弱いなど)を克服しているのでキッチン向けの素材であると言えます。

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クリナップ コーリアンワークトップ

天然の大理石と比較すると柔らかく傷つきやすいので、研磨剤入りのナイロンタワシやクレンザーを使用すると艶の違いが生じることや着色した物の場合は色も削れてしまうため、ほんのり白くなるという欠点もあります。

また、主成分が樹脂であるため「大理石」特有の無機質で高級感のある風合いを出すことが難しく、大理石の質感・趣をどうしても出したい!という方にはおすすめできません。

◆人工大理石を採用している主なメーカー◆

●キッチン:クリナップ、TOTO、エイダイ、ウッドワン

熱にはあまり強くない

基本的には「人造」「人工」双方とも熱にはあまり強くありません。

ですが人造大理石の場合、高圧のプレスによって強度を高めることや真空引きにすることによって水分を排除し、より耐久性の強いものを各メーカーが開発・製造しています。

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また人工大理石製は、樹脂の主成分アクリル系ポリエステル系なのかによってメリット・デメリットも変わってきます。

◆アクリル系

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アクリル樹脂に無機物を入れて加熱し、加圧成型したものです。

加圧成型することにより内部にまで成分が均一に仕上がるため、調味料などの汚れが染み込みにくく、黄ばみや黒ずみが出にくいところも特徴です。

また表面がなめらかでお手入れがラクチンなところも魅力です。

そしてポリエステル系に比べて加工がしやすく、衝撃に強く割れにくいです。キッチンのほかにも浴槽など、水廻りの素材として使用されることが多いです。

◆ポリエステル系

ポリエステル樹脂に無機物を入れて加熱し、加圧成型したものです。

アクリル系には精度は劣り、紫外線に弱く、黄ばみや反りを生じる可能性があるので室外使用には向いていません。

また熱にも弱いのでキッチンのカウンターなどには不向きです。

ただ、アクリル系に比べると価格が安いので、テーブルなどの家具や取り替える機会の多い賃貸の浴槽などに使用されていることが多いです。

まとめ

水まわりの製品でよく使用される「人大(ジンダイ)」ですが、くわしく見ていくとまったく違う成分のものだということが分かりますね。

カタログをご覧になる際によく見てみると【〇〇系〇〇大理石】【〇〇大理石】といったような表記があります。


成分によって見た目や触りごこち、耐久性までもが変わってきてしまいます。

実際にショールームへ出向き、見て・聞いて・触って違いを確かめてみましょう!新たな発見が必ずあるはずです!